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2012年6月18日月曜日

どっちが先か考えてみた。

画像をクリックして拡大しサムネイルを選択して、画像を切り替える事ができます。間違い探しのようで面白い。

045先刷り

D103後刷り
 国会図書館に2枚の「九州植木口激戦図」がある。自分でふった番号でいうと045D103の2枚だが、細部を比較して面白い事が判明した。045が先に刷られた版でD103は後刷りだと言うことである。その根拠を後刷りのD103を基準に書いてみよう。

その1、右図の桐野利秋の下半身でズボンの模様が黄色系に着色されていない事。
その2、同じく桐野の刀のさやが朱色に着色されていない事。
その3、中図の野津少将の着衣において徽章や肩飾りが着色されていない事。
この3点は先に刷られた045の方が絵師の色指定を忠実に再現していると思われる事から、雑になっているD103は後刷りである。続いて、

その4、右図の桐野に肩書きがつき、一隊大将と情報がより詳しくなっている。
その5、右図で村田三介と斬り結んでいる官軍兵の耳や指に血のりが増えている。
その6、桐野の左腕に包帯らしきものが追加されている。
4から6の三点は情報が精細になっている事と表現が凄惨さを増し、エスカレートしている事からD103が後刷りである事を補強していると思われる。その他にもタイトルの地の色が赤から白に変わったり、後者では背景にぼかしを多用してコントラストを強調していたり、と刷師の工夫の跡が垣間見える。

果たしてどれくらいの期間で別の版を用意して後刷りを販売していたのかは、御届印も刷り込んであるので定かな事は言えないが、きっと、驚く程短い期間の間にこうしよう、ああしようというチームの模索が繰り返された事であろう。刺激的な二枚といえるだろう。

2012年6月8日金曜日

日清戦争錦絵 実見!

  大阪梅田はカッパ横町の古書街で日清戦争浮世絵の実物を見てきた。店は中尾松泉堂。画は小国政の「牛荘市街大戦争之図」である。残念ながら写真はNGでした。
仕事の帰りにふらりと立ち寄った所、戦争をテーマにして50セットくらい積み上げてあった。厚紙の台紙を入れて、ビニール袋の中に3枚セットで入っている形。ほとんどが武者絵で、残念ながら西南戦争関連はなかった。
「日清戦争錦絵」が全部で3セット。あと、よくわからないが、明治後半らしきものが2、3点あった。気になったのが、小国政の「牛荘市街大戦争之図」ビニール袋のままでは、裏面しか見えず、表が透けて見える程度では色や構図がよくわからない。はみだした余白の情報を読んで「日清戦争錦絵」らしいと見当をつけたものの袋から出して広げる程図々しくもなれない。ためらって眺めていたら、ご主人が親切にも出して広げてみせてくれた。余白をトリミングして、裏打ちの上、一枚の画としてみられるようになっていた。色は信じられないくらい鮮やかである。右側前景にいる日本兵は紫色の軍服に身を包んでいるのだが、ほとんど褪色していない感じだった。左側に倒れている清国兵は薄い紺の服装でこれも鮮やかである。左側奥に向かって遠景=最前線が広がっており、視線がそちらに誘導される構図になっている。炎や煙が派手に立ち上っているにもかかわらず奥の方ほど色が薄く仕上げられているので、どぎつくはなく、遠近感を感じさせる画になっている。値段はセットで2万4千円。高いのか安いのか分らないが、前に、そばと米の値段から價六銭の価値を検証した事があって、(價六銭参照)その時の結論は西南戦争錦絵のものであるが、三枚続き600円から2400円という事だったので、今は10倍以上の値段になった事になる。120年もたてば当然か!?
デジタルデータは野田市立図書館のライブラリーで見る事ができる。「b-40牛荘市街大戦争之図」である。

2012年6月3日日曜日

9作品追加

静岡県立中央図書館の五月分を追加した。以下の三作品。なかでも「鹿児嶋戦場名覧」は官軍・薩軍の番付である。
「鹿児嶋戦場名覧」


大英博物館からは二作品。


国会図書館のデジタル化資料のページで永島孟斎を検索した所西南戦争にカテゴライズされてない作品が何点かあったので、許可を得て掲載した。神風連の乱の作品は、参考作品として。他の絵師にも未分類のものがあるかもしれない。